きらいなものはこれと言ってない。
かと言ってすきなものも特にない。
だいじなものならばひとつ、あるような。
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泣かないで、と差し出されたのは飴玉。
くすんだピンクに濃い赤の縞が、中身の味は苺だと主張しているようだ。
「ばあか。」
的外れな浜田の行動に思い切り冷たい顔をつくる。
だめだ噴き出しそう。
「なんだ、よ!ひとの厚意を!」
だからそれがもう間違ってるんだってば。
でもまだ言わない。
目が潤む。
手の甲で拭うと浜田の手がそれを遮った。
「目、赤くなるからやめとけ。」
別に赤くなったってかまわないんだけれど。
真剣な顔をしているから言うことを聞いて手を下ろした。
浜田の手はまだ、俺の腕をぎゅうと握って離さない。
こすってないじゃないか。
浜田の目はまだ、俺を真剣な視線で捕らえて離さない。
なにが言いたいんだ。
「さっきから、なに。どうしたの泉。」
怒っているのかも知れない。
この目は多分、2年前の9回裏。
いけない、こんな大事を望んでやったわけ、じゃ。
「俺、そんなに信用されてないんだ。」
「え、ええと、落ち着け、はまだ。」
狼狽する俺に、浜田の顔が急に、ちかく、に。
「ちょ、ちょちょ、待て!待て!!」
慌てて押し遣る。びっくりした。
今更何をもったいぶるのかと言われたらそれまでだけど。
実はまだ片手で数え切れる位しか、キスなんてしていない。
それ以上なんて絶対むりだ。
だからこんな怒りついでじゃいやなんだ。
「教えてくれないと、無理やりでもするぞ。」
「何を!」
「さっき、俺が屋上来たとき。」
「泉泣いてたじゃん。あれの理由。」
怒ってる、ものすごく。
自分が信用されてないと思って、怒ってる。
ふざけるなよ俺がお前に何て言わされたか覚えてないのかばか!
喉元まで出掛かってぐっと飲み込む。
寧ろ今日は俺が怒られてしかるべき、理由が。
「ええと、な。」
「うん。」
「怒るなよ?」
「誰と?」
「は?なに?」
「誰かと、うわき、したんだろ。」
呆れた。
なんでこんな大事になってしまったのか。
面白いくらい浜田が俺を気にするからちょっとからかうつもりだったのに。
浮気、そんな、あるわけがない。
話の飛びようすらなんだかかわいく思えてしまう俺はちょっとおかしいのか。
絶対そんなことは言わないけれど。
「かふん。」
「え、なんて。」
「花粉しょー、てやつデスよ。」
俺は目にくるタイプなんだって、ば!
腹をかかえて笑い転げるヤツが憎らしい。
笑い声の切れ切れに。
ごめんねだいすき、なんて。
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((いつからはかりはつりあってたの?))
ギャグにしようとして玉砕。なにこのちゅうとはんぱなの…。